SAP BW/4HANA

SAP BW/4HANAとSAP Analytics Cloudを連携する方法:ライブ接続とモデルインポートの実務ガイド

SAP BW/4HANAとSAP Analytics Cloudの連携方法を、ライブ接続とモデルインポートの違い、CompositeProvider設計、権限、更新確認、障害切り分けの観点から実務向けに解説します。

BW/4HANAとSACの連携方式を選ぶ実装前にライブ接続とモデルインポートを比較するBW/4HANAとSACの連携方式を選ぶ実装前にライブ接続とモデルインポートを比較する直接参照とBW側ロジックスケジュール更新とSAC側加工ライブ接続データをBW/4HANA側に保…モデルインポーデータをSACモデルへ取り…運用上の優先事項鮮度、加工、権限、性能を…CertPas オリジナル図解
SAP BW/4HANAとSAP Analytics Cloudのライブ接続およびモデルインポートの比較
目次
  1. 連携方式を先に選ぶ
  2. BW/4HANA側のモデルを整える
  3. ライブ接続を構成する
  4. モデルインポートを運用する
  5. 権限とデータ公開を確認する
  6. 障害を切り分ける
  7. 本番移行前のチェックリスト

SAP BW/4HANAのデータをSAP Analytics Cloud(SAC)で分析する場合、最初に決めるのは接続方式です。代表的な方式は、BW/4HANA側のデータを参照し続けるライブ接続と、SACへデータを取り込むモデルインポートです。方式を先に固定すると、モデル設計、権限、更新運用、障害調査の担当範囲を整理しやすくなります。

この記事では、BW/4HANAのInfoObject、ADSO、CompositeProvider、クエリをどの位置で使うかを含めて、SAC連携を本番運用へ移すための確認手順をまとめます。画面上の接続作成だけで終わらせず、データ定義と運用監視まで一つの流れとして設計します。

連携方式を先に選ぶ

ライブ接続

ライブ接続では、SACのストーリーや分析画面からBW/4HANA側のクエリへアクセスします。データをSAC側へ定期複製しないため、元データに近い状態で参照でき、BW/4HANAに集約した認可や計算ロジックを活用しやすい方式です。

一方で、利用時の応答時間はBW/4HANAのクエリ、集計、ネットワーク、同時実行数に左右されます。SACで使う項目を増やすほど、クエリ設計とバックエンドの負荷確認が重要になります。公開前に代表的なフィルター、ドリル操作、同時利用を想定した応答時間を測定します。

モデルインポート

モデルインポートでは、BW/4HANAのデータをSAC側のモデルへ取り込み、取り込み後のデータを使って分析します。SAC側でデータを加工したり、複数のデータソースを組み合わせたりする要件に向きます。スケジュール更新、認証情報、失敗時の再実行、保存データの保持期間を運用設計に含めます。

インポート方式では、SAC側に保存されたデータとBW/4HANA側の最新データに時間差が生じます。利用者へ表示する更新時刻を明示し、更新ジョブの完了後にストーリーを確認する運用を作ります。機密データを取り込む場合は、SAC側のモデル権限とデータアクセス制御も同時に確認します。

観点ライブ接続モデルインポート
データの所在主にBW/4HANA側SAC側へ取り込み
更新の考え方参照時点のデータスケジュール実行時のデータ
主な確認対象クエリ性能、ネットワーク、認可更新ジョブ、保存データ、再実行
適した用途BW/4HANAの定義を集中利用SAC側の加工や複合分析
BW/4HANAとSAC連携の障害切り分け接続、権限、モデル、データ結果の障害を切り分けるBW/4HANAとSAC連携の障害切り分け接続、権限、モデル、データ結果の障害を切り分ける最初に確認接続成功アクセス権が正しいモデルが実行される障害発生接続とネットワーク接続先、認証、証明書、経路…権限対象利用者のロールで同じ…クエリまたはインポート…変数、フィルター、変換、…データ照合期間、組織、通貨、単位、…CertPas オリジナル図解
BW/4HANAとSAC連携の障害を接続、権限、モデル、データ照合へ切り分けるフロー

BW/4HANA側のモデルを整える

連携の入口を作る前に、BW/4HANA側で分析に必要な意味と粒度を確定します。InfoObjectは特性、キー数値、マスタデータ、テキストの関係を整理する基盤です。コードだけでなく表示テキスト、階層、通貨、単位、時間特性を確認し、SACで利用者が理解できる名称を用意します。

InfoObjectの設計を確認するときは、SAP BW/4HANA InfoObjectの設計と確認方法を参照し、特性値とテキストの扱いを整理します。値の意味が同じでも、桁数、単位、時間粒度が異なると、SACでの集計結果やフィルター表示に影響します。

ADSOは、データを蓄積し、更新や統合の単位を決める重要なオブジェクトです。取り込み元、キー、項目の更新規則、データの有効期間を確認します。SAC向けには、画面で必要な粒度のデータを安定して提供できるかを確認し、不要な明細をそのまま公開しない構成にします。

ADSOのデータフローや運用単位を見直す場合は、SAP BW/4HANA Advanced DataStore Objectの設計で、蓄積層と公開層の役割を分けて考えます。

SACへ公開する分析モデルは、通常、複数のデータ提供元をまとめるCompositeProviderとクエリの組み合わせで整理します。結合、ユニオン、特性の対応関係、キー数値の集計方法を確認し、同じ項目が複数経路から入る場合の重複を検証します。

CompositeProviderの設計では、SAP BW/4HANA CompositeProviderの構成と確認ポイントを使って、項目マッピングとデータ粒度を確認します。SAC側のストーリーに合わせて項目を追加するのではなく、再利用できる意味のある公開モデルをBW/4HANA側に作ると、複数のストーリーで定義を共有できます。

ライブ接続を構成する

ライブ接続を採用する場合は、接続先、認証方式、ネットワーク経路、利用者の権限、公開するクエリを順に確認します。SACから到達できる経路を用意し、接続テストを管理者権限だけで終わらせず、実際の利用者ロールでも実行します。

接続が成功しても、すべてのクエリが分析に適しているとは限りません。変数入力、階層、計算キー数値、通貨換算、例外集計、ゼロ抑制など、SACの操作で期待どおりに動くかを代表的なシナリオで確認します。

クエリの選定とテストでは、SAP BW/4HANA Queryの基本と確認手順を参照し、BW/4HANA側の定義とSAC側の表示結果を照合します。照合には、期間、組織、通貨、単位、レコード件数、合計値を使い、サンプル画面だけで判断しないことが重要です。

ライブ接続の性能問題は、SACだけでなくBW/4HANA側のクエリ実行計画、集計設計、データ量、同時実行を確認します。フィルターを必須にする、初期表示の範囲を絞る、不要な自由分析項目を削減するなど、利用者の操作とモデルを一緒に調整します。

モデルインポートを運用する

モデルインポートでは、最初に対象データの抽出範囲と更新頻度を決めます。日次、時間単位、必要時実行などの要件を、データ鮮度とBW/4HANAへの負荷の両面から評価します。全件更新が必要か、期間や変更分だけで足りるかも決めておきます。

更新ジョブには、開始時刻、完了確認、失敗時の通知、再実行方法、業務利用を再開する条件を定義します。更新中のデータを利用者が参照する可能性がある場合は、更新ウィンドウと表示する最終更新時刻を明確にします。

インポート後の照合では、BW/4HANAのクエリ結果とSACモデルの合計値を同じ期間、同じ組織、同じ通貨、同じ単位で比較します。件数だけでなく、NULL、未割当、テキスト、階層、マイナス値、丸め差も確認します。

差異がある場合は、まず抽出条件、変換、単位・通貨換算、重複排除、更新時刻を分けて調べます。変換処理の設計は、SAP BW/4HANA Transformationの設計とトラブルシューティングで確認し、どの層で値が変わったかを記録します。

権限とデータ公開を確認する

ライブ接続では、BW/4HANA側のユーザー、ロール、分析権限、クエリへのアクセスを確認します。利用者がSACで見られるデータ範囲は、接続に使うユーザーとBW/4HANA側の認可設計に依存します。管理者で見える結果を、そのまま一般利用者の結果として扱わないようにします。

モデルインポートでは、BW/4HANAから読み出す権限に加えて、SAC側のモデル、ディメンション、ストーリー、チーム、ロールの権限を確認します。取り込まれたデータが誰に表示されるかを、組織、地域、会社コードなどの業務単位でテストします。

権限テストは、管理者、通常利用者、範囲を制限された利用者の3種類以上の代表ロールで実施します。アクセスできない場合だけでなく、アクセスできてはいけないデータが表示されないことも確認し、テスト結果を接続方式ごとに保存します。

障害を切り分ける

接続テストが失敗した場合は、次の順序で範囲を狭めます。

  1. 接続先と認証情報を確認する
  2. ネットワーク経路と証明書を確認する
  3. 利用ユーザーの権限を確認する
  4. 対象クエリまたは抽出対象の状態を確認する
  5. 小さい期間と少ない項目で再実行する
  6. BW/4HANA側のログ、ジョブ、実行時間を確認する

接続自体は成功し、値だけが合わない場合は、期間条件、変数、単位、通貨、階層、テキスト、タイムゾーンを照合します。ライブ接続ではクエリの結果を、モデルインポートでは最後に成功した更新の結果を基準に比較すると、調査対象を分けやすくなります。

応答が遅い場合は、初期表示のフィルター、取得項目数、クエリの集計粒度、同時利用者数、バックエンドの処理時間を記録します。改善後は同じ操作シナリオで再測定し、体感だけで性能改善を判定しません。

本番移行前のチェックリスト

本番公開前には、次の項目を一つの移行記録にまとめます。

  • 接続方式と接続先が確定している
  • 公開するInfoObject、ADSO、CompositeProvider、クエリが確定している
  • 項目、単位、通貨、階層、テキストの表示を確認している
  • BW/4HANAとSACの代表データを照合している
  • 管理者と通常利用者の権限テストを完了している
  • ライブ接続の性能、またはインポート更新の所要時間を測定している
  • 更新失敗、接続失敗、値の差異に対する担当者と連絡経路が決まっている
  • 変更時の再テスト範囲とロールバック手順が定義されている

運用開始後は、接続状態だけでなく、データ鮮度、更新成功率、クエリ応答時間、利用者からの差異報告を継続的に確認します。BW/4HANA側のモデル変更や権限変更は、SACのストーリーと更新ジョブへ影響するため、変更管理の対象に含めます。

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