SAP
SAP HANA Cloud 起動・停止の手順とトラブルシューティング
SAP HANA Cloud Central を使った SAP HANA Cloud データベースの起動・停止手順、実行前の確認事項、接続できない場合の切り分け方法を解説します。
SAP HANA Cloud のデータベースは、常時稼働させるだけでなく、運用計画や検証環境の利用状況に応じて停止・起動できます。操作は SAP HANA Cloud Central から行い、データベースの状態を確認しながら実行します。
本記事では、SAP HANA Cloud の起動と停止の基本手順、操作前後に確認したい項目、起動後に接続できない場合の確認順序をまとめます。SAP HANA Cloud の作成やサービス設定全体を確認したい場合は、SAP HANA Cloud のプロビジョニングも参考になります。
SAP HANA Cloud の起動と停止を理解する
SAP HANA Cloud の停止は、データベースサービスを一時的に停止する操作です。停止しても、通常はインスタンスそのものや保存済みデータを削除する操作ではありません。一方、停止中はSQL実行やアプリケーションからの接続ができないため、業務時間中の本番データベースで実行する場合は、利用者とアプリケーションの影響を事前に確認します。
起動は、停止状態のデータベースサービスを再び利用可能にする操作です。起動直後は、データベースプロセス、ネットワークエンドポイント、認証、アプリケーション接続などが順番に利用可能になるため、操作直後に接続を繰り返すのではなく、状態が完全に起動済みになるまで待ちます。
停止や起動は、容量変更やサービスプラン変更とは異なる操作です。性能を改善したい場合は、利用可能なサービスプランや容量を確認し、SAP HANA Cloud のスケーリングで扱う変更と、単純な起動・停止を分けて考えます。
SAP HANA Cloud Central で状態を確認する
最初に SAP BTP のサブアカウントへサインインし、SAP HANA Cloud Central を開きます。対象のサブアカウント、スペース、リージョンを確認したうえで、操作対象の SAP HANA Cloud データベースを一覧から選択します。同名に近いインスタンスがある場合は、インスタンス名、リージョン、作成者、用途を照合してください。
データベースの詳細画面では、現在の状態を確認します。表示される状態名やボタンは、利用しているサービスのバージョンや権限によって異なる場合がありますが、操作の基本は、対象データベースを選択し、アクションから起動または停止を選び、確認ダイアログで確定する流れです。
起動中、停止中、起動済み、停止済み、エラーなどの状態が切り替わるまで、同じ操作を何度も送信しないでください。状態が変わらないときは、ブラウザーを更新する前に詳細画面のメッセージと操作履歴を確認します。
SAP HANA Cloud データベースを停止する手順
停止前には、次の項目を確認します。
- 実行中のバッチ、ロード、エクスポート、データ処理が残っていないか
- アプリケーションサーバーやジョブスケジューラーがデータベースへ接続していないか
- 利用者に停止時間を通知しているか
- 停止してよいインスタンスとリージョンを選択しているか
- 停止後に必要となる起動担当者と確認手順が決まっているか
準備ができたら、SAP HANA Cloud Central で対象データベースを開き、停止アクションを選択します。確認画面で対象名を再確認し、停止を確定します。処理中は、データベースへの新しい接続を受け付けられなくなります。
停止完了後は、詳細画面で状態が停止済みになったことを確認します。アプリケーションの監視やジョブが接続エラーを大量に記録しないよう、必要に応じて関連サービスを停止または一時抑制します。停止とバックアップの関係を整理したい場合は、SAP HANA Cloud のバックアップとリカバリも確認してください。
停止はデータ削除ではありませんが、停止中に実行できない処理がある点に注意が必要です。また、サービスの料金やストレージ、バックアップの扱いは、契約しているサービスプランと設定に依存します。コスト判断は、SAP BTP の契約情報と対象インスタンスの設定を基準に行います。
SAP HANA Cloud データベースを起動する手順
起動前には、接続元アプリケーションが利用可能な状態か、認証情報が有効か、メンテナンス時間が終了しているかを確認します。停止中にアプリケーションを先に起動すると、データベースが利用可能になるまで接続エラーや再接続ログが発生することがあります。
SAP HANA Cloud Central で対象データベースを開き、起動アクションを選択します。確認ダイアログで対象のインスタンス名を確認してから確定します。処理中は、データベースが起動済みになるまで画面を再読み込みし続けたり、起動操作を重複して送信したりしないようにします。
起動済みと表示された後は、SAP HANA database explorer のデータベース接続を使って、ログオンと簡単なSQL実行を確認します。接続設定の確認方法やSQLコンソールの使い方は、SAP HANA Cloud の SAP HANA database explorerで補足しています。
検証環境では、データベースへの接続だけでなく、アプリケーション、ジョブ、データ連携、監視通知が正常に戻ったことも確認します。本番環境では、起動完了を合図にする運用ジョブを用意すると、利用者への開放タイミングをそろえやすくなります。
起動後に接続できない場合の切り分け
起動済みと表示されているのに接続できない場合は、次の順序で確認します。
- SAP HANA Cloud Central で、対象インスタンスが本当に起動済みか確認する。
- SAP HANA database explorer で、ホスト、ポート、ユーザー、認証情報を確認する。
- 接続元のネットワーク、許可されたIPアドレス、Private Linkや接続方式を確認する。
- データベースユーザーがロックされていないか、パスワードが期限切れでないか確認する。
- アプリケーション側の接続プールを再初期化し、古い接続を破棄する。
- SAP HANA Cloud Central の詳細メッセージやイベントを確認する。
停止から起動した直後だけ接続できない場合は、サービスの状態が完全に安定するまで待ちます。特定のユーザーだけが接続できない場合は、インスタンス全体ではなく、ユーザー、権限、認証情報の問題である可能性があります。権限設計を確認するときは、SAP HANA Cloud のユーザー管理も役立ちます。
アプリケーションだけが失敗する場合は、データベースの起動状態とアプリケーションの接続設定を分けて調べます。DNS解決、TLS設定、ポート、接続プール、ファイアウォール、ネットワーク許可リストを順番に確認すると、原因を絞り込みやすくなります。
起動と停止を安全に運用するポイント
本番環境では変更管理と通知を行う
本番データベースの停止は、利用者への影響が大きい変更です。作業依頼、承認、開始時刻、影響範囲、復旧確認者を記録し、アプリケーション担当者とデータベース担当者が同じ手順を参照できるようにします。
自動化では状態確認を組み込む
APIや運用自動化から操作する場合は、起動または停止の要求を送るだけで完了とみなさず、状態のポーリングとタイムアウトを設けます。起動済みを検知した後に接続テストを実行し、失敗時には再試行回数と通知先を明確にします。
停止とバックアップを混同しない
停止はバックアップの代替ではありません。SAP HANA Cloud のバックアップとリカバリはサービス管理の仕組みとして提供されるため、停止前に独自バックアップを取得すれば、任意の時点へ復元できるという意味にはなりません。データ保護の要件は、保持期間、復旧時点、復旧時間、リージョン要件を分けて確認します。
監視では停止を異常と決めつけない
計画停止中は、接続失敗や可用性低下のアラートが発生することがあります。メンテナンス時間を監視運用へ反映し、計画停止と予期しない障害を区別します。起動予定時刻を過ぎても状態が変わらない場合は、SAP HANA Cloud Central の状態とメッセージを確認し、必要に応じてSAPのサポート手順へ進みます。
まとめ
SAP HANA Cloud の起動・停止は、SAP HANA Cloud Central で対象インスタンスの状態を確認して実行します。停止前は処理と接続の影響を確認し、起動後は状態が安定してから SAP HANA database explorer とアプリケーションの接続を検証することが重要です。
トラブル発生時は、インスタンスの状態、接続情報、ネットワーク、ユーザー認証、アプリケーション接続プールの順に切り分けます。停止、スケーリング、バックアップ、移行は目的の異なる操作なので、それぞれの運用手順と変更管理を分けて整備してください。