SAP HANA Installation
SAP HANAのハードウェア要件と動作環境を確認する方法
SAP HANA on-premiseのハードウェア要件、Linux動作環境、認定ハードウェア、メモリ・ストレージ・ネットワークの確認ポイントを整理します。
SAP HANA on-premiseを導入する前に、サーバーのハードウェア、Linuxの動作環境、ストレージ、ネットワーク、サポート対象の組み合わせを確認します。要件確認はインストール作業だけでなく、将来のデータ量、バックアップ、可用性、運用監視まで含めて計画することが重要です。
SAP HANAのハードウェア要件
SAP HANAはインメモリ処理を中心とするため、CPUだけでなくメインメモリの容量と構成がシステム性能に大きく影響します。搭載メモリは、データベースの使用量、SQL処理、作業領域、システムサービス、ログ、バックアップ処理に必要な余裕を考えて決定します。
本番環境では、現在のデータ量だけを基準にせず、データの増加、再編成、ロード処理、バックアップ実行時の負荷も見積もります。高可用性構成やスケールアウト構成では、各ホストの役割とサービス配置を整理し、障害時に必要なリソースを確保します。
ハードウェアの選定では、SAPが公開する認定済み構成を確認します。サーバーモデル、CPU、メモリ、ストレージコントローラー、ネットワークアダプターなどの組み合わせが、対象のSAP HANAリリースと運用形態に適合していることを確認してください。認定状況は、調達時点の公式情報を基準にします。
メモリとサイジングの確認
メモリ容量は、データベースサイズだけで決まりません。カラムストアの圧縮後サイズ、行ストア、SQL実行時の作業領域、デルタストレージ、システムサービス、バックアップ処理などを合算して考えます。テーブルの増加率と保持期間も、見積もりに含めます。
初期の見積もりには、SAPのサイジング方法とSAP HANAサイジングの考え方を利用できます。SAP Quick Sizerで業務量やユーザー数などを整理し、既存システムのデータ量、圧縮率、ワークロードを組み合わせて計画を具体化します。
稼働後は、SAP HANA cockpitやSAP HANA database explorerを使って使用状況を確認します。ホスト全体のメモリはSYS.M_HOST_RESOURCE_UTILIZATIONで確認でき、HOST、USED_PHYSICAL_MEMORY、FREE_PHYSICAL_MEMORY、ALLOCATION_LIMIT、INSTANCE_TOTAL_MEMORY_USED_SIZE、INSTANCE_TOTAL_MEMORY_ALLOCATED_SIZEなどの情報を利用できます。サービス単位ではSYS.M_SERVICE_MEMORYのTOTAL_MEMORY_USED_SIZEを確認します。
カラムストアのテーブル状況を調べるときは、M_CS_TABLESのMEMORY_SIZE_IN_TOTALとRECORD_COUNTを利用します。これらの情報から、メモリを多く使用しているテーブル、レコード数の増加、ロード後の容量変化を把握できます。監視値は単発で判断せず、日次・週次の推移として確認します。
Linux動作環境の確認
SAP HANAのLinux要件は、対象リリース、CPUアーキテクチャ、サーバーモデル、構成方式によって確認項目が決まります。導入前に、SAPの製品文書と認定ハードウェア情報を参照し、サポート対象のLinuxディストリビューション、カーネル、パッケージ、ファイルシステム、ホスト名、時刻同期を確認します。
OSの準備では、SAP HANA用のユーザーとグループ、ホスト名解決、名前解決、時刻同期、ファイアウォール、ディスクマウント、権限、カーネルパラメーターを計画します。複数ホスト構成では、すべてのホストで名前解決と時刻が整合していることが重要です。
インストール前に、SAP HANAインストールの前提条件をまとめたSAP HANAインストールガイドも確認します。OSの設定、インストールメディア、ファイルシステム、インストールユーザー、ライセンス、データベースの論理構成を順番に整理すると、作業の抜けを減らせます。
ストレージとファイルシステム
SAP HANAでは、データボリューム、ログボリューム、共有領域、バックアップ先を分けて設計します。データボリュームは永続データを保持し、ログボリュームはトランザクションログを保持します。バックアップ先は、データベースホストの障害やストレージ障害を考慮して、適切な保護領域に配置します。
ストレージの評価では、容量だけでなく読み書きの性能、レイテンシー、冗長性、障害時の復旧方法を確認します。バックアップの保存期間、ログバックアップの頻度、データベースコピーの作成、再起動後のロード処理も、必要な容量と性能に影響します。
ファイルシステムのマウントポイントと所有者は、SAP HANAの標準的なディレクトリ構成に合わせます。容量監視にはしきい値を設定し、データ領域、ログ領域、バックアップ領域を個別に監視します。ストレージの交換や拡張を予定する場合は、運用手順とバックアップの復元手順を事前に検証します。
ネットワークと分散構成
単一ホスト構成でも、クライアント接続、管理接続、バックアップ転送、ストレージ接続に必要なネットワークを整理します。複数ホストで構成する場合は、ホスト間通信に必要な帯域、遅延、冗長経路、名前解決を確認します。
システムデータベースとテナントデータベースを含むSAP HANA 2.0のマルチテナントシステムでは、接続先、ポート、管理者権限、バックアップ経路を構成単位ごとに整理します。SAP HANA database explorerではSQL接続の確認を行い、SAP HANA cockpitではシステムの登録、監視、アラート確認を行います。
ネットワーク設計には、クライアントからの接続だけでなく、SAP HANA cockpit、SAP HANA database explorer、バックアップサーバー、監視基盤、認証基盤との通信も含めます。ファイアウォールの許可ルールは、ホストとサービスの役割に基づいて必要最小限に設定します。
インストール前のチェックリスト
インストール前には、次の項目を文書化します。
- サーバーモデルとCPUが認定構成に含まれている
- メモリ容量がSAP Quick Sizerとワークロード見積もりに適合している
- 対象のLinuxディストリビューションとカーネルがサポート対象である
- データ、ログ、バックアップのファイルシステムと容量が確保されている
- ホスト名解決と時刻同期がすべてのホストで動作している
- クライアント、管理、バックアップ、ホスト間通信の経路が確認できる
- SAP HANA 2.0のシステムデータベースとテナントデータベースの構成を計画している
- ライセンス、インストールメディア、管理ユーザー、バックアップ先が準備されている
インストール実行時は、hdblcmがコマンドラインのライフサイクル管理ツールとして使用されます。SAP HANA cockpitの導入では、SAP HANA cockpitパッケージのディレクトリ内からhdblcmを実行します。作業の詳細はSAP HANA hdblcmの使い方で確認できます。
SAP HANA cockpitの導入後確認
SAP HANA cockpitを利用する場合は、導入後に接続対象の登録、ユーザー権限、通信、証明書、アラート、バックアップ状態を確認します。SAP HANA cockpitは、ハードウェアの実測値、メモリ使用量、サービス状態、ホスト状態を継続的に確認するための管理ツールです。
導入手順はSAP HANA cockpitインストールガイドで整理し、実際の環境では対象リリースに対応する公式ガイドを参照します。管理者の権限を必要以上に広げず、監視担当者、データベース管理者、バックアップ担当者の役割を分けて運用します。
要件確認で重視するポイント
SAP HANAのハードウェア要件は、サーバーを購入するための仕様表ではなく、データベースを安定して稼働させるための設計基準です。認定ハードウェア、SAP Quick Sizer、Linux要件、メモリ、ストレージ、ネットワーク、バックアップ、監視を一つの計画として確認します。
特に、本番稼働後の増加余地と障害時の復旧能力を事前に評価します。計画書には、想定データ量、メモリ使用量、ストレージ使用量、バックアップ時間、ネットワーク帯域、監視項目、担当者を記載します。これにより、導入時の適合性確認と運用開始後のキャパシティ管理を同じ基準で進められます。