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SAPライセンス測定の基本:USMMとSLAWで実施する準備・測定・監査対応

SAPシステム測定の目的、USMMでのユーザー分類とエンジン測定、SLAWでの集約、差異確認、監査対応用の証跡管理を実務手順として解説します。

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対象範囲の確定、USMM測定、SLAW集約、差異確認、証跡保管に至るSAPライセンス測定の流れ
目次
  1. SAPシステム測定の目的
  2. 測定前にそろえる情報
  3. USMMでユーザーを測定する手順
  4. エンジン測定と利用実態の確認
  5. SLAWで測定結果を集約する
  6. 測定結果の差異を調査する
  7. 監査対応用の証跡を管理する
  8. 定期運用に組み込む方法
  9. 実施時のチェックリスト

SAPのライセンス測定は、契約上の利用状況とシステム内の実績を定期的に整理する運用です。対象システム、ユーザー、利用区分、エンジン使用量、測定日、確認者をそろえて管理すると、測定結果を説明しやすくなります。実務では、各システムでUSMMを実行し、必要に応じてSLAWで結果を集約します。

この作業は単にユーザー数を数えるだけではありません。ユーザー分類の妥当性、未使用ユーザー、複数システムに存在する同一人物、インターフェース利用、契約対象となるエンジンや機能の使用状況を確認します。測定前にシステム台帳と担当者を整えることが、後工程の手戻りを減らします。

SAPシステム測定の目的

SAPシステム測定の目的は、契約管理に必要な利用実態を一定の手順で把握し、社内の責任者や契約管理部門が判断できる状態にすることです。測定結果は、そのまま契約上の結論になるとは限らないため、契約書、注文情報、ライセンス定義、導入製品の条件と照合して扱います。

測定では、次の情報を同じ期間と基準でそろえます。

  • 測定対象となる本番・非本番システム
  • システムID、クライアント、製品領域、担当部署
  • ダイアログユーザー、通信ユーザー、システムユーザーなどの分類
  • ユーザーの有効・無効状態と最終利用状況
  • エンジン測定で取得した使用量
  • 前回測定からの増減理由
  • 承認者、実施日、エクスポートファイルの保管場所

システム構成や利用者の変更が多い環境では、測定日直前だけに棚卸しを集中させないことが重要です。月次のユーザー棚卸し、四半期ごとの契約対象確認、年次の測定というように、日常管理と正式測定を分けると運用を安定させられます。

USMMとSLAWの役割個別測定と全体集約におけるツールの役割を整理するUSMMとSLAWの役割個別測定と全体集約におけるツールの役割を整理する結果を集約確認して保管USMM:個別システムシステム内のユーザーと対…SLAW:中央集約複数システムの測定結果を…証跡一式元結果、差異説明、承認記…CertPas オリジナル図解
個別SAPシステムの測定を行うUSMM、中央集約を行うSLAW、確認記録を含む証跡一式の関係

測定前にそろえる情報

最初に、測定対象のシステム一覧を確定します。SAP ERPやSAP S/4HANAの本番システムだけでなく、品質保証、開発、検証、教育用途のシステムも契約や運用方針に応じて整理します。システムコピーやリフレッシュを実施した環境では、旧システムと新システムの扱い、測定対象期間、システム名の対応関係を記録します。

システムのバージョン、コンポーネント、導入済み機能を確認する場合は、SAPバージョン確認の手順を台帳作成の補助資料として利用できます。製品構成が変わった直後は、前回の測定対象と今回の対象を比較し、追加・終了したシステムを明示します。

次に、ユーザー分類の基準を決めます。分類は名前や所属だけで決めず、実際の利用方法、権限、業務範囲、契約上の定義を組み合わせて確認します。退職者、異動者、ロック済みユーザー、技術ユーザー、外部連携用ユーザーは、個別に一覧化して担当者の確認を受けます。

ユーザー棚卸しでは、次の列を持つ作業表が便利です。

項目確認内容
ユーザー名人、外部連携、バッチなどの用途
ユーザータイプダイアログ、通信、システムなど
有効状態使用中、ロック、期限切れ
最終確認日業務担当者が利用実態を確認した日
分類契約・社内基準に基づく分類
根拠所属、業務、権限、連携仕様など
確認者業務部門またはシステム管理者

USMMでユーザーを測定する手順

USMMでは、対象システムにログオンして測定処理を実行します。測定前にユーザー情報を整理し、不要なユーザーの整理、担当者による分類確認、測定対象期間の確認を済ませます。測定画面で表示されるユーザー分類と社内の管理表を突き合わせ、差異があれば理由を記録します。

基本的な進め方は次のとおりです。

  1. 測定対象システムとクライアントを確認する。
  2. ユーザー一覧とユーザータイプを確認する。
  3. 業務担当者に分類結果を確認してもらう。
  4. USMMでユーザー測定を実行する。
  5. エンジンや契約対象機能の測定項目を確認する。
  6. 結果を保存し、実施日時と担当者を記録する。
  7. 前回結果と比較し、増減の理由を説明できる状態にする。

ユーザー分類を変更した場合は、変更前後の一覧を保存します。結果だけを保管すると、後から分類変更の根拠を追跡できません。特に共有アカウント、技術ユーザー、外部接続ユーザーは、利用目的と接続元を補足しておくと確認が容易です。

測定対象ユーザーの数が急増した場合は、まず新規作成、複製、システムコピー、インターフェース登録の有無を確認します。人数の増加が実利用者の増加とは限らないため、ユーザー作成履歴、退職者処理、ロック状態、利用部門の変更を分けて確認します。

エンジン測定と利用実態の確認

エンジン測定では、対象機能の利用量を契約上の単位と対応づけて確認します。対象となる指標は製品や契約条件によって異なるため、画面に表示された数値だけで契約上の判定を行わず、契約管理部門と測定項目の意味を確認します。

実務では、エンジン測定値と業務データを照合します。たとえば伝票件数、明細数、処理量、利用会社コード、対象期間などを業務部門から取得し、測定値の増減を説明できるようにします。数値が増えた場合は、利用量の増加、組織追加、データ移行、集計条件の変更、測定対象システムの追加を切り分けます。

測定値の確認には、次の証跡をひもづけます。

  • 測定結果のエクスポートファイル
  • 対象期間と測定実施日時
  • 対象システムとクライアント
  • 業務データの集計方法
  • 契約上の測定単位に関する確認記録
  • 数値の増減に対する担当者コメント

測定結果の保存先にはアクセス権を設定し、改変を防ぎます。ファイル名にはシステムID、測定日、環境区分を含め、同じ名前で上書きしない運用にします。

SLAWで測定結果を集約する

複数のSAPシステムを運用している場合は、各システムの測定結果をSLAWで集約します。集約前に、対象システムの一覧、接続情報、測定期間、送信担当者、重複排除のルールを確認します。システムごとの結果を先に保管し、集約後の結果と対応づけておくと、差異調査を進めやすくなります。

SLAWを使うときは、次の順序で作業します。

  1. 集約対象システムと測定期間を確定する。
  2. 各システムでUSMMの測定を完了する。
  3. 結果ファイルまたは連携結果を受け取り、対象システムを確認する。
  4. SLAWに測定結果を集約する。
  5. システムID、ユーザー、分類、エンジン値の重複を確認する。
  6. 集約後の結果を契約管理部門とレビューする。
  7. 送信・承認・差異説明の記録を保管する。

同一人物が複数システムに存在する場合、システムごとのユーザー数と組織全体の利用者数を区別して管理します。名前やメールアドレスだけで自動的に同一人物と判断せず、ユーザー統合の基準を決めてから照合します。技術ユーザーや連携ユーザーは、担当アプリケーションと接続方式を記録します。

測定結果の差異を調査する

前回より測定値が増えたときは、数値の正しさだけでなく、対象範囲と集計条件が同じかを確認します。最初に、システム追加、クライアント追加、ユーザー複製、会社コードや組織の追加、対象期間の違いを確認します。その後、業務部門に実利用の変化を確認します。

差異調査では、次のような原因を分類します。

  • 対象範囲の差異:前回に含めなかったシステムやクライアントを追加した
  • ユーザー管理の差異:退職者や技術ユーザーの整理方法が変わった
  • 業務量の差異:取引量、伝票数、処理対象期間が増えた
  • 構成の差異:新しい製品、機能、インターフェースを追加した
  • 集計の差異:抽出条件、単位、重複処理が変わった

差異の説明は、「増えた」「減った」だけで終わらせず、変更日、変更内容、影響範囲、確認者を記録します。システム変更と測定結果を結びつけるには、SAPサポートパッケージ適用の運用手順や変更管理記録を参照し、測定期間中の変更を確認します。

重大な差異がある場合は、測定結果を再作成する前に元ファイルを保存します。再測定した結果だけを残すと、最初の結果との差異を説明できなくなるため、初回結果、再測定結果、再測定理由を一組で管理します。

監査対応用の証跡を管理する

監査や契約レビューに備えるには、測定結果だけでなく、測定に至る判断過程を保存します。最低限、システム一覧、ユーザー分類表、USMM結果、SLAW集約結果、エンジン測定の根拠、差異説明、承認記録をまとめます。

証跡の保管単位を測定回ごとにそろえると、後から検索しやすくなります。たとえば次のディレクトリ構成を採用できます。

license-measurement/
  2025-01/
    system-inventory/
    user-classification/
    usmm-results/
    slaw-results/
    variance-analysis/
    approvals/

ファイルには作成者、作成日時、測定対象、測定期間を記録します。アクセス権は担当者と承認者に限定し、保管期間は社内規程と契約管理方針に合わせます。個人情報を含む一覧を扱う場合は、保存場所、閲覧者、持ち出し方法も管理対象にします。

運用を改善する際は、SAP EarlyWatch Alertの確認ポイントのような定期的なシステム運用と測定作業を関連づけると、構成変更や性能課題を測定結果の差異調査に反映しやすくなります。

定期運用に組み込む方法

ライセンス測定を年次イベントだけにすると、ユーザー分類やシステム台帳の不備が短期間に集中します。日常運用に次の確認を組み込み、正式測定の前に情報を整えます。

  • 月次:退職者、異動者、期限切れユーザー、技術ユーザーを確認する
  • 月次:新規システム、クライアント、インターフェースを台帳に反映する
  • 四半期:契約対象の製品・機能と実利用部門を確認する
  • 変更時:システムコピー、組織追加、機能追加を測定管理へ通知する
  • 測定前:対象範囲、担当者、期間、分類基準を確定する
  • 測定後:結果、差異、承認、送信記録を保管する

保守計画やシステム変更が多い環境では、SAPメンテナンスプランナーの使い方と測定管理の予定を連携させます。導入・更新・統合の計画に合わせて、測定対象システムと契約対象機能を見直すためです。

実施時のチェックリスト

最後に、実施担当者が確認しやすい形にまとめます。

  • 測定対象のシステム、クライアント、環境区分を確定した
  • 測定期間と前回測定の基準を確認した
  • ユーザータイプと分類基準を確認した
  • 退職者、ロックユーザー、技術ユーザーを確認した
  • USMMの測定結果を保存した
  • エンジン測定値と業務データを照合した
  • SLAWへの集約対象と重複を確認した
  • 差異の理由、変更日、確認者を記録した
  • 承認記録とエクスポートファイルを保管した
  • 次回測定までの改善事項を登録した

測定結果は、数字だけでなく、対象範囲、分類、根拠、承認履歴まで含めて管理すると説明可能性が高まります。USMMで正確に測定し、SLAWで全体を集約し、差異を業務データと変更履歴で説明する流れを定着させることが、安定したライセンス管理につながります。

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